先日、松本城に行ってきた。その前は、宇都宮城。その前は、忍城。なぜ城なのか問われると「古城愛好会」のメンバーだから。NPO法人アトムを利用する人の中で城に興味を持つ人を募ったところ、3人の利用者と私がメンバーとなり、毎年、春と秋に日帰りで見学できる古城を探索している。
実に楽しい
松本城は「烏城」と呼ばれ、アルプスを背に黒くそびえる城である。そして国宝に指定されている。現存する城では、国宝に指定された城は、姫路城、犬山城、彦根城、松江城で合わせて5城となっている。松本城が国宝となるまで、保存されてきた要素に、戦下を免れたこと(内陸部に位置し、何時も勝利する側にいたこと。)一般人が城を購入し、修復されてきたこと。市民が城を守るために保存活動を続けてきたこと。等が挙げられている。
古城探索メンバーは、どこに行っても真剣に城を見ている。時間をかけて、質問しながら、掲示板を見て興味津津なところが、何故か、こちらが嬉しくなってしまう。ついつい私も真剣に探索し、質問に答えられるよう、知ろうとする意欲が湧いてくる。今回は、地元の無料案内所の案内者に、1時間ほど城の周囲を回りながら、歴史的背景や城の特徴、地域住民の思いなど、説明を受けることで深く深く知ることができた。
3人は、聞き上手なので驚いた。「そうなですか。」「なるほど」「昔の人は、偉いですね。」「う・・・ん。」など、真剣に頷き、声を掛けるので、案内者の方も喜んでいた。見習いたいものである。
3人の中に、ひとり女性(19歳)がいる。その人は、初めの頃は、果たして城に興味があるのか、男性に興味があるのか、それとも、出先で、おいしい物を食べることが目的なのか、曖昧な態度を示していたが、数ヶ月前に「城の本」を購入し、閑な時、見ているらしい。今回の探索には、その写真付きの本を持参し見比べていた。案内者の説明と一致する項目には、「ほらほら」と自慢そうに松本城が掲載されている箇所を「見てみて」と促がしてくる。また、次回の探索場所は「ここがいいかな」と知らせてくる。
何かの切っ掛けで興味を持つことがある。私は、歴史小説が好きでよく読む。楽しんで読むことができている。それは、入院が切っ掛けとなり、閑な私の時間を有意義なものに変えてくれた。その女性は、古城探索愛好会に、出先でおいしい物を食べることに惹かれたのか、それともメンバーの男性に惹かれたのか、それはどうでもいい。だんだん、城に興味を持ってきたことに間違いは無い。切っ掛けを作って挙げることで、生きる上での何かが変わることもある。19歳の女性のこれからは、食べることでも、異性でも、城でも何でもいい。いろいろな事に興味を持ち、これからの人生を楽しんでもらいたいと思う。私は、その女性の「気持ちの中」を探索していきたい。